当院では、思春期の方もお見えになる。その際には、両親の付き添い、をお願いしている。病状説明、治療方針、お薬についてなど、ご家族にしっかりとご説明をするためである。そして最後に「何か、ほかにご質問は?」と聞く、成人の方でも、これをしておかないと私が何か気持ちが治まらない。
私自身のいわゆる「強迫症状」である。
ところで、話は戻って、未成年の方の診察・治療である。多くの付き添ってお見えになる親御さんたちは、動転しておられる。「自分の育て方が悪かったのでしょうか?私のせいでしょうか?」ご自身を責められる。このように親御さんたちに「浮き足立たれる」と未成年診断・治療は困難となる。
そこで、私はいつも言う「お父さん、お母さん、ご自身の子供さんに対する愛情を疑ってはいけませんよ~、考えて御覧なさい、スーパーにお買い物に行くでしょ、ああ、そうそう、あの子これ好きやったな~、そうそうこれもやったね、今晩のおかずどんなんが喜ぶかな」考えながら買い物してるでしょ、それで十分、あなたの心には、子供さんに対する愛情が、気がつかない間に出てきているんですよ!このように話をして、親御さんに自身を取り戻してもらい、落ち着いてくると、子供の方の治療がすすむ。
ところが、あるとき、妙齢の女性とこの話をしていたとき、
「私子供にやったら、そうかも知れんけど、旦那の買い物やったら、確か、うちの主人はこれ嫌いやったな、ソヤソヤ、これも嫌いやからこれにしとこと!買い物籠に入れてしまう」と思いますとのこと。その奥様と二人だけの、苦笑い、大笑いしながらの秘密。
子供への愛情、伴侶への愛情大きな差があります。
Freudは「愛と憎しみの葛藤の始まり」と言ったか、言わないとか、どこかで聞いたような気がする。
ご本人の了解をいただいたうえ、ご本人と同定できない程度に改変してあります。