成功という憂鬱

 ・・・・・・・・と言うことで彼は成功した。いわゆる勝ち組である。

30歳有余にして数件の店舗を傘下に、年商数億、経済的にも、時間的にも余裕ができた。

そして、彼は憂鬱なのである。学校を卒業して、働いた、がんばった、お金がほしかった、第一号店、必死作り上げた、夢の中のよう、、第二号店、おもしろかった、ワクワクした、お店にあれをしよう、これをしよう・・・・、第三号店、なんとなくうまくいってしまった。ついで、その他の店舗、スラスラ、サクサク・・・・これもなんとなく、うまくいってしまった。第二号店までのような充実感、わくわく感はなかった。

ある時、チョッと疲れ、仕事の休養をとった、「アッレ~、おかしいな~」 自分がいなくても、この会社は、成り立って進んでゆくのである。あれだけ全身全霊打ち込んで、精魂、心を込めた会社、「自分の会社」であるのに。

あれだけほしかったお金、自由になっていくらでも使えるようになると使ってみても面白くない、忙しいとき、時間を創って、散財してやろうと思っていたのに、してみれば何のことはない。パチンコ何万円も使ってみた。何のことはない、面白くない。面倒くさいだけ。

忙しいとき皆によく言われた「生き急いででいるんじゃないか」。最近その言葉がよく心に戻ってくる。?

1年間休もうと思っていたけど、最近、心して頑張ってみてるんですよ、店回りもまた始めました。調子いいですよ。ちょっと食べすぎです。

 うつ病に励ましは禁物というが患者さん、あるいは時期次第である。仕事楽しみや、君の生きがい、趣味、楽しみやね。もっと会社大きいしいや。

フッと、この歌詞を思い出した。心理学的、精神病理学的には、ちょっと違うかな、

「 If I could wish for somethig 」

望みはなにかと聞かれたならば

幸せ、と答えはするが

望みが叶って幸せになったなら

すぐに昔が恋しくなるだろう

あんなに素晴らしく不幸だった昔が

映画「愛の嵐:The night porter」  映画見たらやっぱりチョットちがうな~~。

 ご本人の了解をいただいたうえ、ご本人と同定できない程度に改変してあります。