「この間の締め切り今日やったでしょ・・間にあった?」「あの振込み今日期限やったでしょ・・チャンとした?」。「世話焼き女房」型のよしこさん、これはお父さん、お兄さんに対する会話である。
放っておけないのである。口が、手が、先に出てしまう、本人が困らない間に先に片付けてしまう。世話を焼いてしまう。「困らぬ先のよしこさん」である。
お父さんもお兄さんも、彼女に頼りきっている。「お父ちゃん!もォ~~!またァァ~~」、「お兄ちゃん!!もォ~~またァァ~~」毎日のせりふである。兄からの電話「会社の近くに来たから、昼でも一緒に・・」彼女の オゴリである。
会社でも、ソウ、彼女は頼りになる人である、頼めば断らないというより、断れない「性質(タチ)」皆が知っている。自分でもわかっているが断れない。
父兄を見ていると、男って、こんなものだと思うと、異性関係も腰が引けてしまう。
「わかってるんですよね~~、でも、ついつい手が出てしまうんですよね~、いつかやめようと思ってるんですが、ついついね、わかるでしょ! 先生」なんとなくわかるよ、よしこさん。
ここで思い出すのが、織田作之助の「夫婦善哉」映画でも森繁久彌さんと淡島千景さんのすばらしい大阪弁の世界、昔の大阪弁の世界である。ダメ旦那を支える気丈な妻仲のよい夫婦のお話である。
よしこさんも、父兄でなく、「旦那」にすればよいのに、旦那なら納得づく、父兄は選べない。
数年前だったか、新聞に、未発表の織田作之助の「夫婦善哉」の後編が見つかったとのことである。
よしこさん、ご安心あれ!!
うるおぼえですが、確か、この後編では、ダメ旦那も戦争で焼け出され、頼るところがなくなったところ、一生懸命仕事を始めたという筋書き、ハッピーエンドであったとのことです。
お父さん、お兄さん「大器晩成」、チョッと遅いかな~~?遅いね、遅咲きやね?
ご本人の了解をいただいたうえ、ご本人と同定できない程度に改変してあります。