古典的な意味での「うつ病」患者さんは独特の性格傾向がある。確かに日常うつ病患者さんと接しているとしばしば感じる。?
とにかく、まじめ!!!、几帳面、熱中性、仕事熱心、凝り性、正義感などが 1930年代に、下田という人によって指摘されていて、全くその通りである。少し遅れてドイツでもテレンバッハという人が同様の性格傾向 として 「メランコリー親和型」ということを唱えた。ドイツ人と日本人のメンタリティーはよく似ているのであろうか、その他の国ではあまりこのような研究はない。さらにもうひとつ、「対他的配慮」つまり自分の周囲の人に対して細やかな気遣いをする、ということを笠原先生という人が唱えている。?
Aさんは典型的な「うつ病」の方である。まじめ一方、仕事が趣味のような方、人から仕事を頼まれると断れない、一度始めた仕事は徹底的にしないと気がすまない。仕事は120%する。つまり頼んだ相手の期待以上の仕事をしてくる。そんな、こんなで社会的評価は高い、このため「あの人に任せておけば・・・・」というのですぐにみんなに頼られる。「対他的配慮」があるので仕事を頼まれると断れない。結局、がんばりすぎてへばって当院へやってきた。 ?
多くの場合、このタイプのうつ病の方は、比較的薬物療法がよく効く、1-2週間でかなりよくなったので、再発防止の意味で「うつ病の方の性格傾向」の話をした。社会的には十分過ぎるくらいがんばっているので、あまりがんばりすぎず、仕事も適当に手を抜くように説明した。?
生真面目なAさん曰く、「努力してさぼります」・・・・とのこと、「ウームどうもわかっていないようだな~」、致し方なし。
「Geduld, Geduld, immer wieder Geduld: ドイツ語:辛抱、辛抱もう一回辛抱:私が心の医者になって最初に習ったドイツ語:患者さんがどうもわかってくれていないようでも辛抱しなさいというこころ医者への格言」を、心の中で唱えながら、さらに丁寧にもう一度「うつ病の方の性格傾向」の話をし、、「努力してさぼります」は、「なんか変ですね」と水をむけると、やっと気がついたのか、二人で大笑い。?
最近やっと自分のペースをつかめてきたとのことである。